顔や体を拭いたり、テーブルや食器を拭いたりと、私達が毎日お世話になっているタオル。綿(コットン)素材であれば、原料は白くてフワフワした綿花だということは大体想像がつきますが、それらがどのような工程を経てタオルになっていくのかを知っている人は少ないかもしれませんね。というわけで今回は、意外に知られていないタオルの製造工程をご紹介いたします。
■綿花が収穫されて糸になるまで
綿花の主な産地は、インド、中国、アメリカ合衆国、パキスタン、ブラジルなどです。産地の名称がそのまま綿の種類の名称になることが多く、産地によって繊維の長さや成分にそれぞれ特徴があります。アメリカ合衆国産のスーピマ綿、エジプト産のGIZA綿(エジプト綿)、西インド諸島産のカリビアンコットン(海島綿)、中国のウイグル自治区で採れる新疆綿などは高級品とされています。
各地で栽培されている綿花は、コットンピッカーという特殊な大型の機械や手摘みで収穫され、種やごみなどを取り除き、均一な品質になるように混ぜ合わせます(混打)。その後、繊維状の綿花をほぐして同じ方向に揃え、スライバーと呼ばれる太いひも状のものに加工されます。これに軽く撚りをかけながらさらに細く引き伸ばし(粗紡)、決められた太さと撚りの糸に加工されていきます(精紡)。これが、タオルを織るための糸の原料となる原糸と呼ばれるものです。
■海を渡って世界各地のタオル工場へ
収穫された綿花を加工して作られた原糸(もしくは綿花)は、収穫された生産地から世界各地のタオル工場へと輸送されます。輸送方法は船によるコンテナ輸送が主流のようです。糸の加工を行う工場では、届いた原糸を撚り合わせ、加工がしやすいように円筒形のチーズという筒に巻かれたり、円錐形のコーンと呼ばれる筒に巻かれたりして、タオルを織るための準備をします。併せて、経糸を整える整経を行い、実際に織機を稼働させてタオルを織っていきます(整職)。
織り上がったタオルはつながったままロール状に巻き取られ、端は何も処理がされておらず切りっぱなしの状態です。この状態で端に縫製をかけた後、晒しと呼ばれる漂白を行い、染色やプリント加工を行います。このあたりから、やっと見た目がタオルらしくなってきます。その後、乾燥機にかけて乾燥させてから生地を裁断し、ヘムといわれる上下の端を縫っていきます。最後に製品タグなどが縫いつけられ、検品を行った後に、各地へと出荷されていくのです。
いかがでしたか?
タオルが完成するまでに、思いのほかたくさんの工程があることに驚いたのではないでしょうか?
異国の地で花を咲かせた綿花が海を渡り、このような多くの工程を経てタオルに生まれ変って、私たちの手元に来てくれたのだと考えると、何だか壮大な物語のひとつを手にしているようで、ワクワクしてきませんか?みなさんもタオルを使う時、そんな物語に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。